ロマけん(ロマン研究室)のブログ

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書評:私の人生に最も影響を与えた世界的名著「夜と霧」で人生の再起を図る

 

 

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夜と霧

【目次】

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書籍の紹介

「私の人生に最も影響を与えた」世界的名著

この本は、ナチス・ドイツの強制収容所での体験とそこの人々の心理的状況を考察と共に克明に記した作品である。第二次世界大戦後の1947年に出版されるやいなやすぐにベストセラーとなり、今もなお世界の多くの人々に読みつづけられている。また、アメリカで「私の人生に最も影響を与えた本」にランキングされたこともある名著である。

著者:ヴィクトール・E・フランクル(1905年 - 1997年)

オーストリアで精神科教授と神経科医であった彼は、1942年にナチス・ドイツの強制収容所に収監された。3年後の1945年に開放された後、神経科病院に務める傍ら「夜と霧」「それでも人生にイエスと言う」などいくつもの名著を残した。

 

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簡単な内容

 著者であるヴィクトール・E・フランクルは、ユダヤ人であるという理由で強制収容所に収監されることになる。強制収容所での体験を通して、自分と他の人々の心理状態の移り変わりを精神科医としての客観的な分析、考察を交えて解説している。 強制収容所に収監されるという特殊な状況を3つの段階に分けている。

第1段階:収容

アウシュビッツという恐怖の象徴に連れてこられた人々は、最初にショックを受けるも「恩赦妄想」という、「自分にはそんなに大変なことは起きないだろう」という心理状態となる。だが、到着後すぐに約90%の人々が死の選別を受けた事実や靴以外全てのものを奪われ隙間の空いた凍えるボロボロのバラックに詰め込まれ、現実を少しずつ認識し絶望し始める。

第2段階:収容生活

<アウシュビッツ収容所>

ここでの悲惨で異常な世界の体験を詳細に記述しながら自分とその人々の心理状態を説明している。

最初は、恐怖への戦慄、醜悪で劣悪な環境への嫌悪、悲惨な者への同情などを示すが、数週間もすると人々は、内面的な死滅が始まり無関心・無感動へと変わっていく。その無関心は必要な心の自己防衛であった。生存を維持することだけに集中するという原始的な段階に引き下げられる。だが、そんな状態になっても尊厳を無視するような嘲弄には昂奮することがある。 また、政治的関心(終戦)と宗教的関心をに興味を示し、特に宗教的関心は内面化への傾向があった。そのような人は、恐ろしい外の世界から精神の自由と内的な豊かさへ逃れる道を持っていた。そして、芸術とユーモアも自分の生存に影響を与える。

 

<ダッハウ収容所>

アウシュビッツからこの小さな収容所に輸送された。ここにおいても自らの体験を詳細に記述しなが自分とその人々の心理状態を説明している。

ここには「かまど」や「ガス室」がないことから、生命の危険が間接的になったことに歓喜する。この状態になると、日々の些細なことでも、それができる喜びを感じるようになる。やがてそこの医師として働けることとなるが、相変わらずの悲惨な状態にしばしば精神の自由へと逃れた。 やがて病囚収容所行きのリストに載ってしまった(つまりかまど行き)。いわゆるツテでそのリストから自分の番号を消すことも出来たが、医者が必要とされていると信じ病囚収容所に行った。

 

<病囚収容所>

医師として日々を送る中、同僚から逃亡を持ちかけられるも「運命の主役を演じない」という信念により断わる。やがて戦線がここまで来て開放されることとなる。

収容所生活では睡眠不足と空腹に終始苦しむ。そして無感動以外にもいらいらしやすい。その一因として嗜好品の欠如がある。更にその状態が進み劣等感に悩まされる。囚人の中でも役割を与えられていた者は反対に優越感を感じる。両者が衝突するときにはいらいらと昂奮しやすい性質が爆発し最高潮に達する。著者も同様であった。

 

収容所生活で著者が1番言いたいのは、

「どんな最悪な状況であっても人の心の自由は奪えない。最悪な状況に自分の精神が飲まれるか、飲まれないかという決断をすることができる。飲まれないことを選択した場合、環境がどんなに最悪であっても、有意義な人生を形作ることができる。」ということ。そのためには拠り所や未来の目標を持つことが大切。

 

収容所看視兵の心理

1.生まれつきのサディストがいた

2.厳しい親衛隊を組織するためにサディストが求められた

3.サディズム的な行為が多かったため、それを否定する人も無関心になった

4.人道的な人もいた

 

第3段階:収容から開放後

開放後しばらくは自由になったという現実がつかめない、信じることができない。そして何日も経ったある日、再びに人間へと戻っていく。極度の心理的圧迫を受けていた人間は、急に開放されることで心理的健康が損なわれることがあり、開放された者としてその力と自由を制限なく利用できると錯覚する人が現れる。また、過酷な状況を耐え抜いたにも関わらず、人から受ける決まり文句に不満を持ったり、待っている人がいないことに失望するが、これは容易に克服できない難しい問題である。

 

この書籍から得られるもの

  • ドイツ・ナチスの強制収容所で行われていたことを詳細に知ることができる
  • それにより現代の我々は比較的恵まれた環境であることを認識できる
  • 極度に圧迫された人間の心理状態、またそこから開放された人間の心理状態を知ることができる
  • それにより今後の人生観や現代のストレス社会で生きるための知識を学ぶことができる
  • 人間の過去の過ちを振り返り独裁国家の危うさを学ぶことができる

 

書評・まとめ

この書籍は著者の実体験に基づいているため、言葉の端々に説得力を感じることができる。1番のポイントは、 人はどんな時でも心を選択する自由があるということだろう。状況に飲まれないという選択をすれば、力強く人生を生きていける。

これは頭で分かっていてもなかなか難しい。恐怖や怒り、悲しみといった自然と湧いてくる感情を押し殺し、考え、拠り所や未来の希望でもってして心の豊かさを得る。だが、書籍「7つの習慣」の著者:フランクリン・コヴィー氏とその公演を聞いたある主婦の方は、ある時突然「心の選択」ができるようになり涙が溢れたと語っていた。常に心がけることが大切なのかもしれない。

 

著者ヴィクトール・E・フランクルの過酷な収容所生活での心理学者、神経科医としての客観的な洞察、信念を曲げない行動に非常にロマンを感じる。この書籍で得るものは非常に多かった。皆さんも是非読んでいただきたいと思う。

 

最後にヴィクトール・E・フランクルのもう1冊

それでも人生にイエスと言う」

も簡単に紹介しておく。

 

「それでも人生にイエスと言う」とは

「生きる意味があるのか?」と私達が問うのではなく、

逆に人生から問われていて、私達がそれに答えなければいけない。

ということ。これもオススメ↓

 

▼関連する書籍「7つの習慣」の紹介記事は下をクリック

romankenkyu.hatenablog.com