ロマけん(ロマン研究室)のブログ

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書評:「サピエンス全史」で自分を崩壊させ、新たな段階へ進む

 

 

Sapiens-A-Brief-History-of-Humankind

【閲覧時間:約5分】

 

【目次】

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書籍の紹介

目から鱗が落ちる世界的ベストセラー

30か国以上で刊行され世界的なベストセラーとなり、「ウォールストリート・ジャーナル」など主要紙が称賛している。また、ノーベル賞を受賞した行動経済学者のダニエル・カーネマンを感銘させ、フェイスブックマーク・ザッカーバーグも「今年の1冊」に選び、マイクロソフトビル・ゲイツが「自分の考えを見直すきっかけになった」本として紹介している。

著者:ユヴァル・ノア・ハラリ(1976年-現在)

イスラエルで生まれヘブライ大学、オックスフォード大学と進み、ヤド・ハナディヴのフェローとして博士研究員の立場で歴史学を研究した。主に軍事に関する記事、著書を執筆するが、現在は世界史とマクロ・ヒストリーを専門としている。『サピエンス全史』では人類史全ての領域を調査した。30近い言語に翻訳されてベストセラーとなり、学界だけでなく一般の関心も集め一躍名声を得た。

 

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 左から上下合本版、上巻、下巻に並んでいます。

     

 

簡単な内容

かつて捕食者として貧弱な立場であった我々人類が現在までにたどってきた軌跡を振り返り将来を志向する内容となっている。

 

 (上巻)

認知革命

認知革命で「虚構」により我々サピエンスは霊長類の頂点に立つことができた。「虚構」とはつまりイメージのこと。神話や宗教など架空の事を皆で共有し信じることにより、人類は他の生物よりも圧倒的に柔軟な協働をすることができるようになった。これは現在でも当てはまり、国家、法制度、企業、人権などあらゆるものが「虚構」であり、目に見えないが皆が共有し信じて協同している。 

農業革命

農業革命によりサピエンスは小集団での狩猟生活から大規模集団での定住生活に変わり大きく繁栄をし、爆発的に人口が増加した。主に「神話」、「書記体系」、「想像上のヒエラルキーと格差」によりそれは強固なものなっていった。しかし、それが必ずしも個のサピエンスにとって幸せだったわけではなく、働く時間の増加や格差などが生まれ、それは悲劇と一体であった。

統一

農業革命以降は「貨幣」「帝国(イデオロギー)」「宗教」により爆発的にその動きが進み統合していく。特に「貨幣」は人類が発明したもの中で最も普遍的で効率的な相互信頼の仕組みだと言っている。現在でも同様で、世界ではたとえ敵対していてもドルが受け入れられていることからも理解できる。

 

(下巻)

科学革命

約500年前の科学革命により人々は無知であることを認め、貪欲に知識を求め始めた。 それまではすべてを知っている神や賢人から知るという考えであったが、人は無知であることが前提とされた。これにより人類は「科学」という更なる強力な力を手に入れた。科学は政治と経済とイデオロギーに左右されるが、帝国主義と資本主義において親和性が高く、科学と政治と経済の相互影響により大きく進歩した。

だが我々人類の歩みが全て良かったわけではない。地球上の生物全体で見ると逆の結果となる。多くの生物や同じ人類種のネアンデルタール人などを壊滅的に絶滅させている。我々サピエンス全体の観点で見た場合、生物学的には爆発的な人口増加は成功と言えるが、個で見た場合、狩猟採集時代よりも幸福度は悪化している。農業革命のせいで生活の質は低下し、不安、差別、格差、環境悪化などが生まれている。ただし、小児死亡率低下、暴力、飢饉、戦争などは減っているという良い面もある。

他の生物やサピエンス個の幸福について今まで顧みられなかったことを「最大の欠落」とし、それを埋める努力が必要だと言っている。

科学の進歩により人類は自然選択の法則を打ち破り、人間の意識とアイデンティティーを根本から変える時点が来つつあると言う。そしてこの流れは止められないが我々が唯一できることはその方向に影響を与えることだと締めている。

 

 

この書籍から得られるもの

  • 目から鱗が落ちるような感動や驚きをたくさん得られる
  • 人類の歩みを客観的な視点で理解することができる
  • 内容は現代でもそのまま当てはまり現代を生き抜く知恵を得られる
  • 現在の自分の考えを見直すきっかけとなる
  • 今後の人生や生き方を考える上での重要な問いになる

 

書評・まとめ

人類が生物上の圧倒的頂点に立てたのはその知能故ではなく、「虚構」という共通イメージを共有し信じることで柔軟な協働が可能になったから、という主張には本当に目から鱗が落ちる感動を感じた。

また、農業革命によって人類は爆発的に人口を増やし繁栄したのだが、個で見ると幸福度は低下していることにも驚きと深い納得感がある。

そして科学革命では皮肉にも無知を知ることで「科学」という強力な力を手にし、更なる進歩と発展を遂げるとの考察には舌を巻く。

最後にまたやってくれた。この先人類は自然選択の法則を打ち破り現在の意味をなしているものはすべて意味を無くす特異点が来つつあり、サピエンス以外の人類種が登場することを示唆している。

完全に私の中で今まで築いてきたものが崩壊し、新たな段階に入った感覚に襲われた。子供のような感想で申し訳ないがこの書籍は「スゴすぎる!」としか言いようがない。ダニエル・カーネマンやマーク・ザッカーバーグ、ビル・ゲイツなど世界の名だたる有名人が唸るのも納得だ。これは是非多くの方に読んでいただきたい至高の書籍である。上下巻と少しボリュームがあるが、かなり分かりやすい日本語で訳されている。絶対に損はしないと断言しておこう。

 

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